温度差発電でCPUを動かそう!



Setup
皆さんご存じ(?)ペルティエ素子です。
ペルチェ素子

電流を流すと片方の面からもう片方へ熱が移動し
温度差が発生する、CPUとかを冷やしたりするあれです。



逆に、ペルティエの裏表に温度差を作ってあげると、
発電できちゃうって知ってました?

ゼーベック効果って言うんですが、
モーターだって動かせちゃうらしいのです。

そして、手元には使い道の思いつかないLPC810がある!

そういうわけで、温度差発電でLPC810を起動し、
圧電スピーカに発音するおもちゃを作ってみましょう

目標は、「体温で発電し、PC98x1シリーズのピポ音を鳴らす」です

使用するのはこれ。
ARMマイコン LPC810
ARM Cortex-M0+搭載 超低消費電力マイコンLPC810です。
1個80円で32bit-30MHzで動くすごいやつ!


用意する物:


TEC1-1270340(ペルティエ素子)
ヒートシンク
LTC3108モジュール(DC-DCコンバータ)
LPC810
2SC1815*2
2SJ471
1N4007*2
SPT08(圧電スピーカ)
電解コンデンサ 470uF 25V
他、ピンヘッダ、ユニバーサル基板
コンデンサ、抵抗など



特殊なのは、LTC3108モジュールだけで
ストロベリー・リナックスで購入。


Step 2
外観および機能です
外観
外観です。

ペルチェとヒートシンクを組み合わせてあり
ユニバーサル基板上に、DC-DCコンバーター、CPU等、
下にぶら下がってる丸いものが圧電スピーカーです

回路図
回路図(クリックで拡大)

実装

ペルチェ素子のゼーベック効果で生じた電圧を
LTC3108で昇圧し、トランジスタ、FETのスイッチを介して、
3.3VをCPUに供給する回路です。

回路図右(写真下)は圧電スピーカーで、
マイコン出力の「ピポ音」を鳴らします。

基板上に、若干余計な回路が乗っていますが、
試行錯誤していたときの残部品です

使っている素子自体もあり合わせなので、
ちょっと不格好な回路ですが、ご愛敬です


ゼーベック効果

まず、ペルチェ素子の温度差発電です。
体温のみで動作させるため、生じる電圧は数十mV程度です。
写真では88.7[mV」出ています。

LTC810
これをCPUが動作する1.8V以上に昇圧させるのが、
LTC3108です。
20mV〜500mVと超低電圧動作しますので
ペルチェの温度差発電にもってこいです。

出力は3.3Vに設定しました。


動作

LTC3108の出力はこんな感じ。(データシート抜粋)

VOUTには大容量コンデンサぶら下がっているので、
徐々にチャージされて、VOUT電圧が上がっていきます
VOUTがいったん安定化電圧(3.3V)から7.5%以内の範囲まで充電されると、
PGD出力は“H”になります

このPGDの出力"H"を利用し、CPUへの電圧供給を開始します。
後段のトランジスタ(Q1),FET(M2)はその役目です。

このスイッチを入れないと、VOUTがCPU動作電圧に上がりきらず、
CPUは動作しません。


LPC810マイコンは、WD用の一番低いクロックで動作する設定で
SCTのPWMで2000Hz->1000Hzと変更するプログラムが書いてあります

この波形をTr.(Q2)でバッファして圧電スピーカで鳴らします。

Step 3
動作しているところです


右上のグラフは、黄色がVOUTで、赤がCPU電圧です

VOUTが約3Vを超えたところでCPUに電流が供給され、
圧電スピーカーから「ピポ」音が鳴っているのが分かると思います

PC9801っぽく聞こえるでしょうか?

CPUはスリープに入れず、コンデンサにたまった電気は使い切ります
こうすることで、自動で電源がOFFになり、そのまま再動作が可能です


Step あとがき
LPC810の本を買ったところから始まったこの工作。

マイコンだけ見れば、低消費電力にして
2000Hz->1000Hzと変えているだけなんですが
CPUの起動は、すごく電力を食われるんですね。

定番のスイッチ回路にたどり着くまで結構悩んでしまいました。

ちなみに、音は、PC98VXとかVMあたりの起動音のつもりです。
30年近く前のパソコンです。

今や、80円で32bit30MHzのマイコンが手に入ります。
すごい時代になったもんです


ではまた、次の配信で。
2015/12/13



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