ゲーミングマウスのセンサー性能を測定しよう!



Setup
 ご存じ「ろくろ」です。お茶碗作ったりする道具です
手動ろくろ R220-70 径220mm×高70mm
手動ろくろ R220-70 径220mm×高70mm
今回は、こいつを利用して、
マウスのセンサー性能を測定する装置を作ります


用意する物:

手動ろくろ R220-70 径220mm×高70mm
e-amusement pass
ハイスピードギヤーボックスHE(田宮模型)
ナロータイヤセット(田宮模型)
安定化電源
配線少々
Razer salmosaの残骸
ぱそこん
各種マウスパッド

ろくろは、なるべく大きい物が良いのですが、
東急ハンズにこれしか売っていませんでした。

ギアとタイヤは、速度重視で選んでいます。
ハイスピードギヤーボックスHEには、定格3[V]のモーターがついています
もっと高速でハイパワーな組み合わせがあればよかったのですが、
見つかりませんでした。

電源はPWM制御回路を用意したのですが、
どうせ定格以上で回すし、面倒くさいので安定化電源を使います。

他はごく一般的なパーツです。
参考:
グット電気製品カタログ ☆ろくろ☆
タミヤ - Yahoo!ショッピング
Step 1
まず、測定用治具を組みます。
配線図は以下の通りです。

治具配線図
fig.1
マウス制御部分は、C#で作製します。
入力はすべてDirectInputで読み取ります。
またQueryPerformanceCounterを使うことで、
1ミリ未満の精度で測定可能です。


topview
上から見たところ。

丸いのがマウスパッドで、
写真ではG-Padという日本製のマウスパッドの特注品が乗っています。

他のマウスパッドを測定するときは、マウスパッドを張り替えます。

sideview
下から見たところ。

ろくろの上に乗っているベニア板は10mm・300φです。
その上に、プラスチック下敷きで長方形の面を作っています。
この下敷きに、マウスパッドを貼り付けて測定します。

また、ろくろの裏側には、回転検出用の遮光板が合計8枚ついています。

センサーユニットとりつけ
マウスパッドの回転検出には、光センサーを使用します。
前述の遮光板が光を遮り、それをセンサーで読み取り
パソコンで検出するわけです。

センサーユニット

センサーユニットはUSB出力で、1msの精度があります

回転防止の穴開け
センサーユニットの中身。
Razerのsalmosaというマウスを流用し、
光センサーと周辺回路を取り付けています。

salmosaは、ドライバレスで
レポートレートを1000Hzとすることが可能です。
また、応答速度も極めて高速であるため、
センサーユニットの核としました。
(詳細はゲーミングマウスの反応速度測定参照。)

rubber
マウスパッドによっては、
高さの安定用と、底面からの距離調整で
ラバーを取り付けています


棚
測定治具は毎秒6回転以上回すことがあり、
マウスパッドをきちんと固定しないと非常に危険です。
(写真は、SteelSeries SXが飛んだ時に出来た、スチールラックの傷。)


gel
特にガラス製のマウスパッドは危険なため、
災害対策用のゲル材で固定します。


motor
駆動部は、 ハイスピードギヤーボックスHE(田宮模型)
を使用します

最近のマウスセンサーは速度追従が極めて優秀なため、
非常に高速な動作を求められます。
そのため、モーターに定格以上の電圧を加えることがあります。
一時的とはいえ、焦げ臭くなると焦ります。




Step 2
測定風景(youtubeです
音量注意。うるさいです


動画では最高5[m/s]程度の表示になっていますが、 補正前の値であり、実際には6[m/s]以上で動作しています。


Step 3
測定データの一例です。


マウスとマウスパッドは相性があります。
その相性を調べるのに、この装置は役に立ちます。

マウス特性IME3.0
たとえばこのデータ、横軸がマウス(実際にはマウスパッドを動かして測定)の速度で
縦軸は、実際にパソコンで読み取れたカーソル移動速度です

つまり、
1. IME3.0は最大1.5[m/s]の速度までカーソルが追従する
2. 1.5[m/s]以降は、G-Padなど特定のマウスパッドの場合、徐々に追従しなくなる
3. 一方DTP Hardなどは、1.5[m/s]を超えた時点で、動作しなくなる
と読めます


マウスパッド特性
同じく、マウスパッドを共通にすれば、
センサーの比較が出来たりします。

グラフによると、
1. G-Pad使用時、G9xは6[m/s]という驚異的な速度まで動作する
2. Ikariは2[m/s]に届かず、こと速度特性においては、旧世代の性能と読める



もっとマニアックなところでは、
「センサーの癖」なども測定出来ます。

G9xのゆらぎ検証
G9xは高速域まで十分に動作しますが、
動かす速度によって、カーソル移動距離は数%異なります。

DeathAdderのゆらぎ検証
一方、DeathAdderは最高速度こそG9xに負けますが、
カーソル移動距離の誤差は最小限です。


他にもいろいろなデータを発表しています。

詳細は、以下のページにまとまっていますので、見てみてください。
PC用入出力装置のまとめwiki(2chハードウェア板)

(まとめてくださっている2chハード板の皆さんに感謝)


Step あとがき
この測定器のデータはずいぶん前から発表していたのですが、
なかなか記事にすることが出来ませんでした。

最初はESReality MouseScore 2007と言う記事を読んで、
鋭い視点への感動と、発表されたデータへの疑問が発端でした。

それから手動のプロトタイプを作り、
センサーや測定ソフトウェアの改良を何度も重ねました。

ひとまずここに、まとめを置いて、完成としたいと思います。






しかし、増えに増えたコレクション、いったいどうしようかね…
mouse collection
(写真は以前のものなので、さらに十数個は増えているはず…)




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