ドラムパットを光らせよう!



Setup
 おなじみのドラム専コンです。
ドラムマニア専用コントローラ
ドラムマニア専用コントローラ
ぶっちゃけ、かなり叩きにくくあまり評判が良くありません。
また、ドラムマニアはYAMAHAの電子ドラムDTXPLORERに対応しています。

DTXPLORERセット
DTXPLORERセット
DTXPLORERは、ドラム専コンよりアーケード仕様に近いのですが、
パッド配置が違うのと、発光しないのが難点です。
というわけで、オリジナルコントローラを作っちゃいましょう!

今回は、これのボタンを光らせちゃう…わけではなく、
YAMAHAの電子ドラムのパーツを使用して、
アーケードっぽい発光コントローラを作ります。


用意する物:
○ドラムパーツ
ドラムマニア専用コントローラ
YAMAHA TP65 x3
YAMAHA PCY65 x2
YAMAHA HH65 x1

○メカパーツ
300x300x10[mm]アクリル板 x3
200x300x5[mm]アクリル板 x1
300x200x1[mm]アルミ板 x2
200x200x3[mm]アルミ板 x2
300x300x1[mm]蛍光塩ビ板 x3色
20x300[mm]円筒ゴム x1
300x200x5[mm]ゴム板 x1
テーブル足用金属ジョイント x3
15x100[mm]穴付き平型金具(小) x 5
補助金具ステイ x 3
電工BOX用メクラ板 x3
アルミホイル 少々
アルミケース x1
園芸用陶鉢皿9号えび茶 x3
ネジたくさん
塗装用スプレー各種

○電気パーツ
ユニバーサル基板1枚
74HC123A x3 2SC1815x7
2SA1015x7
1N4002 x5
50[V]10[μF]電解コン x5
LED用負荷抵抗 x4x3色
高輝度LED x4x3色
10[kΩ]xたくさん
配線少々

○イレクター
Φ28パイプ 1500[mm] x6
Φ28パイプ 600[mm] x6
メタル クロス型ジョイント x4
メタル T型ジョイント x8
プラ T型ジョイント x2
プラ キャップ x9
ゴム キャップ x4
アジャスター x5



ドラムパーツは、I/Fに専コンの回路を使用し、
YAMAHA電子ドラムのモノラルパッド、モノラルシンバルパッド
そしてハイハットコントローラを接続します。

あまり知られていませんが、ドラムのパーツは単体で販売されており
今回のように必要なパーツのみ購入することが出来ます

メカパーツは、だいたい発光改造をするための部品です
10[mm]厚のアクリルを贅沢に使用したりするため、
ドラムパッドより発光部品の方が高かったりします

電気パーツも、ほぼ発光改造用です。
OBSA-45UKはスタートセレクトボタンに使用し、
専用12[V]白色LEDを仕込んでいます。

イレクターは骨組みを構成します
金属フレームなので、強度は高いはずです。
アジャスターを利用して、パッドとフレームを接続します

他はごく一般的なパーツです。

参考:
イレクター
YAMAHA電子ドラム
Step 1
まず、核となるコントロールBOXを作製します。
回路図は以下の通りです。
ドラムパッド発光用回路図

実装するとこんな感じ。
メイン基板トップ メイン基板ボトム



回路説明:
大きく分けて、左から、
1.入力と単安定マルチバイブレータによる遅延回路
2.トランジスタ2石による電流バッファ
3.ドラムパッド内発光回路
になります。

また、スタートボタンとセレクトボタン発光用回路も実装していますが
これはポップンやIIDXコンの発光回路と同じなので説明は省略します
詳細は以下のリンクからご覧ください
発光ポップンコントローラの製作

まず、1.の遅延回路について、
ドラムコントローラはパッドを叩くので、
ポップンのように、押している間発光するような回路だと
LEDが一瞬しか光りません。
これを解決するために、74HC123Aを用いた遅延回路を
導入しています。

入力は後述する、専用コントローラのコントロールICの手前、
HC14の直後から取ります。

発光時間はR1xC1で決定され、100[ms]に設定しています。
100[ms]は、配信しながら手探りで決めました。

C1が大きいため念のためD2を付けておきます
D2はもっと小さなダイオードでいいのですが、
1N4002が安かったので。使用しています。

2.の電流バッファについて、
PS2のコントローラにはモーター駆動用の7.6[V]が来ているので、
その電源を利用するための変換回路です。
5kは10kの2パラです。

3.ドラムパッド内発光回路について、
図中青波線の部分で、実際には4パラでそれぞれにRLEDがつきます。
色によってVfが違うので、RLEDはそれぞれ20[mA]になるように
調整します。

パッドには、これ以外に圧電素子へのラインがあるので、
LED電源、圧電素子、GNDのラインをステレオプラグで接続しています





PS2とのI/Fは専用コントローラの基盤をそのまま流用します。 専コンの基盤裏から
コントロールICの手前に、整形された信号を拾えるTPが出ているので、
それをメイン基板への入力として使用します
どうやら、トランジスタ2石とHC14を通ったあとの信号のようです。

専コンの基盤表から
専コン基盤の表面。元々つながっていた圧電素子の端子を、
そのまま新しいパッドに接続します
専用コントローラは、この基盤以外「ポイ」です。
もったいない…

コントロールボックス内部
基盤が出来たら、箱に実装します。
箱は千石で1000円ぐらいのアルミ箱です。

スタートとセレクトボタンはIIDX用のボタンで
12V用の専用白色LEDと赤セロファンを仕込んでいます
電流が足りないはずですが、まあまあ光っているのでよし。

コントロールボックスの化粧用アクリル板
5[mm]厚のアクリルを加工して化粧板を作ります
写真の通り、ボタン用穴と横の面取り加工をしたのですが、
アクリルの鬼のような堅さを実感することに。

安い小型ヤスリでは、正直日が暮れます。
IIDXコンでこれをやった方は、1穴2時間半かかったとか。

面取り加工部分ははアクリル磨きでつや出ししています。

コントロールボックス
ねじを締めたらできあがり。
先ほどの化粧板のせいで、ぐっと豪華に見えます
苦労した甲斐があった?


Step 2
tomをつくります
TP65の表面
YAMAHAのTP65というモノラルパッドです。
これに発光機構をつけます。

TP65の裏面
裏を向けると接続金具や接続端子がついているため、
大きくつきだしているのが分かります。
さらに大きく丸く湾曲してます。
ACのtomの裏は平らなので、
同じような発光をさせるには一工夫必要です

TP65の内部
内部は基板と支持用金具、そして圧電素子という構成です。
金具と基板は不要なので、取り外します。

tom裏面不要部分のかわりにアルミ板をあてる
つきだしている部分をばっさりカットします。
0.3[mm]アルミ板を穴の形にカットします。

tom裏面補強用アルミ板接着
アルミ板を接着するとドームの底を切り取ったような形になります
この面は、後ほどLED用の溝をつけ、アルミ箔の反射材を貼り付けます

tomを支えるメクラ板表面
取り外した支持金具の代わりに、
電工用メクラ板とテーブル足用金具を組み合わせた
取り付け金具を作ります

メクラ板は底面に沿うように、斜めに曲げて、
円筒ゴムを加工したスペーサーを取り付けます。

中心はイレクターのアジャスターとテーブル足用金具をとりつけ、
他は5[mm]のネジを切っておきます

ちなみに、メクラ板というと聞こえが悪いですが、商品名がメクラ板なんです

tomを支えるメクラ板裏面
裏から見るとイレクターアジャスターの白い足が見えます


tomに4つのLEDを実装
発光用LEDを4つ取り付けます。
負荷抵抗もLEDの直近に取り付け、
熱収縮チューブとホットボンドで取り付けます。

メクラ板とtom底面を合体
裏から取り付け金具をあてるとこんな感じ。

取り付け金具の四隅にネジ穴がありますが、
1カ所は0.3[mm]補強板の部分に当たるので
実は3点止めです

補強板を工夫すれば4点で止められそうですね。

tomのラバー
ラバーには圧電素子がついているだけ。
よく見ると、振動させるための工夫や静音の工夫がされていて
奥の深いぱーつなんですよ。

10mm厚アクリル板
問題の発光用アクリル板です

この形まで、ハンズでくりぬいてもらいました。
輪になっているのがtom用で中心のがシンバル用です

アクリルはとても堅く、加工が非常に困難なので
円カットなどは、お任せしてしまうのが無難です。

加工済みアクリル板と蛍光塩ビ板
10[mm]厚色つきアクリル板は入手できなかったため、
蛍光塩ビ板をのせて色を付けることにします。

塗装やスプレーなど各種試したのですが、
結局蛍光塩ビ板をのせるのが一番きれいでした。


ちょっとわかりにくいので、図面を残します
アクリル材周辺図
アクリルは入り口と、全反射の部分をスモークにして拡散させ、
発光させない部分は、ホワイトに、光の出口はクリアーに磨きます。
光量や拡散を補うため、LEDの周りはアルミで覆います。
アクリルを42°カットして、光を全反射させるのがポイントで、
アクリル材がリング状に光っているように見えます。

アクリル円盤拡大
この42°カットのために、簡易グラインダーを使いました。
堅すぎて、ヤスリでは絶対に無理です。

リングの片面はホワイト塗料で、片面はクリアーなんですが、
写真だとわかりにくいですねぇ

アクリル板とりつけ
アクリルリングと合体。
LEDの部分は、溝が掘ってあり、周辺はアルミ箔で反射材を作ります。
アルミ箔は酸化防止のため、クリアーラッカーを吹きましたが
効果あるんでしょうかね。

アクリル板取り付け用の金具
アクリルリング取り付け金具は、15x100[mm]金具を短く切って使っています

アクリル保護用皿とtom本体合体
アクリルを保護するために、裏から保護用皿をあてます。
LED部分はアルミ箔で反射材を作っています。

アクリル保護用皿の塗装
アクリル保護用の皿の材料は、園芸用の陶皿9号です。
これを浅くカットし、車用ウレタン塗装で黒くします

この皿の選定が大変で、ケーキ型やら、フライパンやら
いろいろ考えました。
ACは金属製なので、まねしたかったのですが、断念。

元は茶色、ヤスリがけして薄茶色、サーフェイサーで白、
その後黒く着色して、最後につや出しクリアーです。
ハゲない塗装を作るのは結構面倒くさいです。

また、ラッカーやウレタン塗装はものすごく臭いので、
作業日は家族に大不評でした。

tom裏面
保護皿の裏から。
金属パーツとクッションを使用してしっかり固定
金属板は保護用皿の反り防止の意味もあります
黒のツヤが美しい…

tom前面
3色揃うときれいでしょう?


Step 3
シンバルとハイハットをつくります
シンバルパッド
YAMAHAのPCY65というモノラルパッドです。
これに発光機構をつけます。

シンバルパッド横から
横から見たところ。
発光させたい部分がドーム状に盛り上がっています。

シンバルパッド凸面カット
盛り上がっている部分を削り落とします

シンバル背面ケース用アルミ板
発光パーツを入れるケースを1[mm]アルミ板で作成します

シンバル用ケース
曲げ加工と穴あけ加工を施すとこんな感じ。
アクリルが当たるところ以外は、ウレタン塗装で黒くします。

シンバル用LED部分
LEDを取り付けます。
例によって、ホットボンドと熱収縮チューブのみです
負荷抵抗も忘れずに。

中心の大きな穴は、元々シンバルを支えるための穴だったのですが、
前述のドームを切り取ったため、大穴になって、固定できません。

センサーを移動する
パッドと支柱を固定するパーツを中央に取り付けます。
固定パーツはtomと同じくイレクターのアジャスターです

アジャスターを固定する部分にセンサーがあったので、
センサーはさらに中央に移動します

LED表面から
LED部分を表面から見たところ。
5[mm]のネジでアルミケースとパッドを固定します

シンバル発光用アクリルパーツとゴムパーツ
発光用アクリルパーツです。
前述の10[mm]アクリル板より、削りだしています

アクリル保護用のゴム板も同じサイズに作っておきます

アクリル取り付け
アクリル取り付け。
青いアクリル板が入手できなかったため、
透過青色でアクリルの露出部分を着色しました。

アクリルの層構造
上から、
ゴム板(アクリル保護用)
アルミ箔(反射用)
アクリルパーツ
ケース上面
ケース下面

シンバル裏面
すべてねじ止めして、アジャスターを取り付けます。
アルミへの塗装は、金属用サーフェイサが必要なので注意が必要です。
黒は、tomと同じくウレタン塗装です

シンバルパッド表面
できあがり。
ラバーの形状がACと違うのですが分かりますか?


Step 4
バスドラムをつくりますです。
バスドラ内部
YAMAHAのHH65というハイハットスイッチを流用します。
アルミ板をL時に加工し、バネつきマイクロスイッチを取り付けます

最初は既存の4連スイッチをそのまま使おうと思っていたのですが
そのままではチャタリングのような反応が見られ、
制御回路が面倒なのでマイクロスイッチにしました

マイクロスイッチを付けるなら、普通のキックペダルの方が
ずっと安く作れたはずなので、ちょっと残念です。

バスドラキック部分
見た目はハイハットスイッチです。
マイクロスイッチのクリック感があるのと
ステレオプラグの位置がちょっと違います


Step 5
組み立てて完成です。
入れイレクターによる骨組み
ドラムパッドを支える骨組みはイレクターで作成します。

イレクターはパイプとジョイントを組み合わせて様々な形を作れる
とても便利な組立材料です。
複雑な形に取り付けるドラムセットにはぴったり。
内部が鉄パイプで出来ているため強度も十分です

ドラム全景
全体図
足場が心配なら、イレクターで斜めに1本いれてもいいかな。
パーツは買ってあるんですが、もう遊びたくて遊びたくて。

ポプコン1固定
tomの発光具合はこんな感じ
LED4つでも十分光ります

PS2wire固定
青のシンバル&ハイハットなんてまぶしいぐらい!
ACでは16個もLED使っているらしいです。

内部全景
妥協はしません。
スタート&セレクトも、もちろん光りますよ!


Step あとがき
今回作成したドラムセットは、見た目にこだわって作成しました
そのため、実物を見た人は、何かのキットか既製品に見えるようです
「専用回路はもちろん、アクリル削りだしから、
アルミやコントロールボックス等全部手作りだ」と伝えるとびっくりしてくれます

それだけ発光はインパクトがあるんです。

発光しなくていいなら、YAMAHAのパッドを単品で購入し、
イレクターで骨を作れば完成です。
回路は専コンにつなげばよし。

実は、発光させなければ、YAMAHAのドラムセットを買うより
ずーっと安く作れるわけです。
発光さえなければ!

発光部品を作るに当たってAC筐体に何度も足を運びました。
AC筐体は、最初から発光パーツを付けるように出来ているので、
すごく単純な構造で出来ています。

ACに近づけるために、ACよりずっと複雑な構成になったんじゃないかな
YAMAHAのパッドを流用すれば楽勝!なんて思っていた頃が懐かしい。

試行錯誤で買ったパーツの山がうらめしい。
工具もいっぱいそろえました。

いくらかかったかって?聞くなよ!
レシートの山

 感想、レポートまってま〜す。




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